抄録
日本における山麓草地形成の主要な制約条件を, (1) 立地関係をぬきにした所有関係の制約ではなく,山麓傾斜面の中で,まさに草地形成可能地の集落近接地が所有・利用関係によつて制約されている点と, (2) 耕地と比較して劣等地の山麓における草地形成には,大規模農業的な資本と技術を要するにもかかわらず,日本酪農の小農的・多角的性格がそれに照応しないという点との二点に求め,この仮設的アプローチを二川で実証しようとした.その結果,集落に近接した草地可能地における所有・利用条件の一応の整備,「集約酪農地域」草地造成のモデル・ケースとして,小農資本を補完する公共資本が投下されたこと,以上の事実をもたらした二川営農体制の整備,それらと急傾斜草地にも適したジャージー酪農との結合,などが目本では特異な急傾斜山麓草地を形成した事実を認め,この仮設的アプローチの実証に近づく一つの研究をなし得たと考える.