地理学評論
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日本における衛星都市の研究
山鹿 誠次
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1963 年 36 巻 3 号 p. 159-168

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抄録
日本における衛星都市の性格・類型およびそのような性格の生じた要因について分析し,さらに衛星都市群の形成とその発達要因について考究した結果,次のような結論を得た。
(1) 衛星都市は巨大都市の周辺にあつて,巨大都市と密接な関係をもつて発達し,巨大都市の機能の一部を分担する中小都市である. (2) 衛星都市の性格は大都市と地方都市のいずれとも異なり,その複合性・半独立性をもつ。しかしその中には,従属型・半独立型・複合型などいくつかの類型がある. (3) 衛星都市性格形成の要因としては住宅・工業・学園など大都市機能の遠心的拡大によつて,大都市的性格が付与され,一方既存都市の変質や母市からの隔離によつて半独立性が要求され,この二つが複合した性格をおびるに至つたためである. (4) 日本の三大衛星都市群を対比すると,大阪中心のものが最も早く発達し,東京中心のものがこれにっいで,第2次大戦の影響を強くあらわし,名古屋中心のものは近年発展しつつある。このような差異には,三大都市圏における諸種の地理的条件が反映している。
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© 公益社団法人 日本地理学会
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