地理学評論
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東京の中心地群と関係圏について
服部 〓二郎
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1965 年 38 巻 3 号 p. 162-178

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抄録

数百万以上の人口集団に支えられた巨大都市の内部,とくに中心市街地を機能地域 (Functional Region) の視点から観察すると,一見複雑な構造のように見えるが,その地域構造は比較的単純でシスティマティックな中心地群の統合構造として浮きぼりにされる.すなわち, (1) 都心関係圏……都心を高次で複合的な機能核とする広大な圏構造的な関係圏, (2) 副都心関係圏……副都心をかなり強力なサービス機能核とする扇状の関係圏, (3) 地域中心関係圏……地域住民の日常消費生活にサービスするローカルな中心地群の狭い関係圏などの三つの異質な関係圏から構成されている.それらの中心地群は,各々統合・競合・補完などの関係を保ちながら併存している.しかも,その空間秩序は,いたって自然な経済地理的な法則の支配を受けていると考えられる.あたかも市場網の構造で A・Lösch が提示した蜂房構造に比肩されるような空間構造が巨大都市内部にも検出されるのである.

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