地理学評論
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自由地下水における水収支の検討
両筑平野の地下水を例として
新藤 静夫
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1966 年 39 巻 11 号 p. 697-712

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抄録
自由地下水における水収支は次の3要素から成り立っている. a, 貯留量の増減 b, 浸透による涵養量 c, 地下水流去量
ここに地下水流去の機構はある流域における水収支の方向や性格,すなわち地下水賦存量の変化の振幅,その最大最小の時期またそれらの型式等を支配し,水利用計画に際して,地下水賦存量の変化やそれに対する灌概水の影響を予測する場合に重要である.
一般に地下水流去は地下水位の逓減曲線によって示され,その曲線は次式であらわされる.
H=Ha+(Ho-Ha)e-ct
(H:経過時間tにおける地下水位高,Ha:地下水の基底水位, Ho: 初頭の地下水位, C: 係数)ここで係数Cはこの曲線の逓減度,つまり地下水流去の大きさをあらわすので,これをある灌概地における水文地質学的な区分の一つの指標とみることができる.この論文で筆者はとくにこの点について検討し,これを実例によって示した.
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