地理学評論
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山形盆地の地形発達
藤原 健蔵
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1967 年 40 巻 10 号 p. 523-542

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抄録

山形盆地の地形と地下構造を,ボ-リング資料と物理探査成果を用いて検討したところ,その発達過程について次の成果を得た.
1) 山形盆地は鮮新世末—更新世初頭におけるNNE-SSW性地殻運動(山形断層)の陥没区域として生じた.盆地基底は東半部に深く,また盆地中央部を斜交するNW-SE性構造の支配をうけて,南半部が北半部より深い.
2) 陥没の初期段階では大規模な湖盆化がなかったらしく,盆地堆積物の下層部は割合粗粒で,花崗岩・石英粗面岩質のものが多い.
3) 盆地南半部の上層部では,蔵王火山群の活動によって安山岩礫が急増する(第IV層).その後大規模な陥没によって広く湖盆化し,湖成層の堆積をみたが,やがて扇状地(第III層)の形成がこれに続いた.
4) 以後顕著な陥没による湖盆化とそれに続く扇状地の形式が2回繰り返されて現在に至った.現扇状地の原面(I扇面)は最上川による盆地尻の下刻ないし扇面の増傾斜運動に応じて開析され,原面の下方に小規模なII・III扇面が発達していった.

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