地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
シナ嶺南地方の風土病「瘴癘」の地理学的考察
千葉 徳爾
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 40 巻 12 号 p. 679-692

詳細
抄録
1)瘴癘とはシナ嶺南地方で,主としてAnopheles minimusに媒介されて発生する熱帯熱マラリアおよびAnopheles sinensisが媒介する3日熱マラリアなどを総称する名称であったと著者は信ずる.このことは,その発生季節・発生場所・症状および患者の社会的活動状況などによって,ある程度まで論証できる.
2) シナ歴代王朝の軍事的な南方進出を近世まではばんだものの1つが,この風土病であった.これはまた,原住民の生活文化の上にも多くの影響を与えたと推測される.
3) 近世以後は,瘴癘の蔓延地域は急速に縮少した.清朝の人口増加が水田灌漑施設の改良を進めたのが一因である.また,明代以後の甘藷・玉蜀黍など一連の新来作物が,新らしい耕地造成を要求して,Anopheles属の蚊の棲息地である森林や籔地などを一掃したことはその2であろう.両者が相俟ってマラリアの減少を結果したとみなされる.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top