地理学評論
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都市化と区画整理—木曽川下流を対象として—
白井 義彦
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1967 年 40 巻 2 号 p. 66-86

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抄録

本研究の目的は,木拒川下流における耕地の区画整理の地域的特色とその展開の諸要因を明らかにし,さらにこの中から都市化の手法としての区画整理の実態をとらえ,都市化に計画性を付与するために,区画整理を通じて大都市圏における都市と農村との土地利用の調整策を提起することにある.研究対象地域は,都市化が著しい名古屋市郊外の10市29町村を対象とする.論述の進め方としては,まず対象地域の土地利用の特性を明らかにし,ひとまず1899~1960年における耕地の区画整理地を丹念にしらべ,その展開の地域差とその展開を左右した要因を明らかにする.こうした半世紀をこえる区画整理史において,今日最も重要な問題となってきたのは都市化に対応した区画整理の政策的欠如である.今後の大都市圏における区画整理の意義を考え,二つの事例調査(名古屋市大野木土地区画整理組合・江南市古知野土地改良区)をとりあげて実態調査を行った.大局的にみれば,この地域の区画整理は,都市化に対応した新しい区画整理方式を行なうことによって,乱雑に進行し深まりつつあるスプロール現象を防止しなくてはいけないという意見に到達した.

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