武蔵野台地の各地形面をおおうローム層の厚さに関する今迄の知識は,ほとんどすべて,比較的少数の露頭観察に基づくものであった.本稿では,青梅市を一頂点とする東西約7km, 南北約5kmのほぼ三角形の範囲,すなわち立川段丘西端部を調査の対象として,(イ)地表面の微起伏と,(ロ)ローム層(立川ローム層上部)の厚さを可及的に平面的に調べ,ローム層の等厚線図を作成し,同一地形面内におけるその厚さの場所による違いを明らかにした.次に(ハ)断面図を6本作成し,ローム層下の砂礫層の表面の起伏の状態,ローム層の厚さと地表面ならびに砂礫層表面の微起伏との関係を見た.さらに(ニ)ローム層の色調・土性等をも調べ,これを(イ)(ロ)(ハ)の結果と結び付けて,ローム層の堆積環境と堆積後にローム層の受けた変化を検討し,それが同一地形面内でも場所によって様々に異なることを知った.