抄録
村落の構成や機能を考察するとき,出発点は家であると考える.家は人の集りの場でもある.人と人との結びつき特に家族や同族の集りの場は家のマツリの場である.この点から家の間取りの考察をしてこの村落の構成に進んだ.農村の生産はすべてマツリと直結していた.この村のマツリの場は神社であり,寺でもある.前者は男子,後者は女子の場である.神社は同族によって各種段階の氏神がみられ,村の氏神は本質上の村の核ではないことが多い.こうした村人のマツリの場,すなわち共飲共食の場を考察することによって,村人の結びつきがわかる.この共飲共食の場は,家の対祭用の間と同様に,村人にとって順位をつくり出した.ここに村人のつながり・家の格・同族関係の原始形態が究明できよう.特に寺の位牌や墓によってこの姿をさぐってみよう.単位として,旧村の構成から出発した.旧村すなわち小字のあつまりであるが,小字は同族の集合体でもある.村落構成はここに出発点をおくべきである.家から小字にそして村落に,人の集りの場の対祭用の間から,村人の集りの場の寺に関連づけ発展させて,人の結合の面から村落を究明しよう.