地理学評論
Online ISSN : 2185-1719
Print ISSN : 0016-7444
ISSN-L : 0016-7444
ユーゴースラヴィアの局地風「ボラ」に関する総観気候学的・局地気候学的調査
吉野 正敏
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 42 巻 12 号 p. 747-761

詳細
抄録
ユーゴースラヴィアのアドリア海沿岸に吹く局地風「ボラ」は,黒海沿岸のノボロシスクの「ボラ」,あるいは日本の太平洋岸に吹く「おろし」とともに,大気候的にはユーラシア高気圧の周縁あるいは500mb面の気圧の谷の位置で,寒気が吹きだしやすい地域に起る現象である.「ボラ」の統計的調査結果では, 15mls以上の強いものは冬によく起り,夜間に強くなり,特に早朝に極大に達することが多い. 1~2月には気温は0°C, 高気圧性ボラの場合は湿度が40%くらいになることもまれでない.通常は12~20時間くらい吹走し,まれには10日間以上も連続して強く吹くことがある.
ユーゴースラヴィア内で「ボラ」が最も強く吹くところはスロヴェニアのアイドブシチナ付近,アドリア海岸では,トリエステ,セン,カルロバーグを中心とした地域である.ここは局地的に強く吹くような地形条件をそなえている.最後に分布図と横断面図を画いてボラ地域の特徴を示した.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top