抄録
ユーゴースラヴィアのアドリア海沿岸に吹く局地風「ボラ」は,黒海沿岸のノボロシスクの「ボラ」,あるいは日本の太平洋岸に吹く「おろし」とともに,大気候的にはユーラシア高気圧の周縁あるいは500mb面の気圧の谷の位置で,寒気が吹きだしやすい地域に起る現象である.「ボラ」の統計的調査結果では, 15mls以上の強いものは冬によく起り,夜間に強くなり,特に早朝に極大に達することが多い. 1~2月には気温は0°C, 高気圧性ボラの場合は湿度が40%くらいになることもまれでない.通常は12~20時間くらい吹走し,まれには10日間以上も連続して強く吹くことがある.
ユーゴースラヴィア内で「ボラ」が最も強く吹くところはスロヴェニアのアイドブシチナ付近,アドリア海岸では,トリエステ,セン,カルロバーグを中心とした地域である.ここは局地的に強く吹くような地形条件をそなえている.最後に分布図と横断面図を画いてボラ地域の特徴を示した.