地理学評論
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群馬県大泉町の工業
電機組立大工場の進出に伴う工業地域集団の形成
厳 勝雄
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1969 年 42 巻 12 号 p. 762-774

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抄録
機械工業の発達していなかった地域において電機組立大工場が立地した場合,その系列工場群の成立によって工業地域が形成される過程を追求した.そして日本経済の二重構造の上に如何にして工業地域が形成されたか,その実体の把握に努めた.工業地域の形成過程は次の三期に分けられる.(1) 形成期:大工場の系列関係にある地元出身でしかも簡単な技術を有する小零細工場を中心とした工業地:域が形成される.系列工場の労働力供給は殆んど地元の脱農労働力に限られている.(2) 発展期:関連工業もしだいに立地するようになるが,殆んど外来工場で,規模は小工場程度.系列工場は大工場の発展に伴って比較的高い技術を具えた外来工場を誘致し,地元の系列工場はそれに応じて技術・経営を改め,規模も大きくなる.労働力は周辺へ拡がる.(3) 完成期:大工場の系列・関連工場が集積し,大工場を中心とする系列・関連工場の配置には組織された工業の地域集団がみられる.系列工場の労働供給圏もある一定の範囲にとどまって,一つの有機的な工業地域が成立つようになる.
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