地理学評論
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三重県,朝明川・三滝川・内部川の河床縦断形について
池田 宏
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1970 年 43 巻 3 号 p. 148-159

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抄録
三重県,朝明川・三滝川・内部川の中・下流部において,流量や流砂量が下流方向に大きく変化しない区間をとりあげて,河床砂礫の粒度組成・粒度別岩質構成を分析し,3河川の河床縦断形の concavity の差異を生みだした原因を考察した.その結果,河床砂礫全体の大きさの下流方向への分布が,河床縦断形(河床勾配の下流方向への分布)と密接な対応関係があるにもかかわらず,岩質別の河床砂礫(ここでは,花崗岩砂礫と古生層砂礫)の大きさの下流方向への分布は,河床縦断形と対応関係をもたず,岩質別に特有な分布を示すことが明らかになった.したがって,河床砂礫全体の大きさの下流方向への分布は,河床砂礫の岩質構成,ひいては各河川上流山地部の地質に強く影響される.結局,各河川上流山地部の地質の差異が,各河川の河床縦断形の concavity の差異を生ぜしめていることが明らかになった.
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