地理学評論
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奈良盆地弥生式遺跡における花粉分析学的考察
千田 稔
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1971 年 44 巻 10 号 p. 707-722

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抄録
イネ作農業がどのような景観の中で発生し,受容されたかという問題は原景観研究あるいは景観発生論と呼ぼれるべきである.わが国の弥生時代の気候は従来から気候変化の研究により指摘されるようにやや冷涼なものであるとしても東海地方ではク琴ノキが生育し,奈良盆地ではイヌマキがみられたのであるから気温の低下を過大に見積るべきではないと考える.しかし奈良盆地における筆者の試錐において,泥炭質粘土層が弥生式土器包含層と一致する事例が観察され,当時における冷涼気候は否定されるべきでないと考える.奈良盆地における弥生式遺跡の泥炭質粘土などから得られた試料を用いた花粉分析からは次のような結果がもたらされた. AP (樹木花粉)ではQuercusあるいはPinusが優占し,さらにCryptomcriaも高率を占めている.灌木類のViburnumも高い頻度で出現する. NAP (非樹木花粉)ではGramineae (イネ科)やCompositaeが優占している.
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