地理学評論
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砂丘地下水の滞留時間
榧根 勇大庭 孝夫
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1972 年 45 巻 2 号 p. 143-148

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抄録
1970年1月31日~2月1日にかけて本邦を縦断した低気圧は,台風なみの規模にまで発達し,日本海沿岸各地に異常高波を発生させ,防波堤を欠壊させるなど,被害が続出した.黒部川扇状地の扇端部,黒部川河口の右岸に位置する芦崎砂丘もこの高波の侵入を受け,三百戸の民家の井戸が塩水化した.この塩水化した地下水の塩分濃度の減少状態から,砂丘地下水の滞留時間を推定した. 4月の調査時には電気伝導度で4000μmho/cm以上の塩分を含んでいた地下水は, 11月には300μmho/cm以下にまで回復した.塩分濃度の減衰曲線は,片対数グラフ上で直線によって近似でき,直線の勾配は時間の単位を1日とした場合-0.02であった.定常状態にあり,混合が十分行なわれている地下水については,塩分濃度減衰曲線の理論解はS=S0 exp(-αt)となる.ここで1/αは地下水の滞留時間を意味する.したがって芦崎砂丘の地下水の滞留時間は50日と算出された.このように速い地下水の循環は,この砂丘が急勾配で透水性のよい黒部川扇状地の扇端部に位置していることに原因がある.
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