抄録
目的:感潮河川の河岸地域における自噴泉湧出量は,河川水位,降雨の影響を受けて変化する.本研究は,これらの影響の機構を明らかにするため,鹿島半島の利根川沿岸の自噴帯の中から目的にあうような自噴井戸を選び観測した.その結果,課題の究明に必要な若干の資料を得たので,その一部を報告してご意見を仰ぎたい.方法:自噴泉湧出量の観測は,利根川河口から15.5kmの位置にあるA泉(離岸距離92m), B泉(離岸距離300m) について行なった.結果:年平均湧出量 (108.2l/min.) よりも少ない部分 (105l/min.) が卓越湧出量である.これを中心にして, 1年間が三つの時期に分かれた.先ず,コンスタントに約105l/min. を湧出している時期が平水期 (11月25日~3月25日), それより減水している時期が渇水期 (8月1日~9月18日と7月16日~8月15日), それより増加している時期が豊水期 (9月19日~11月20日と3月26日~7月15日) となる.観測期間の総降雨高 (1658.2mm) に対する上記の各期の割合は,豊水期70%, 平水期17%, 渇水期13%となっている.降雨の少ない12月, 1月よりも8月, 7月の湧出量が少ない理由としては,蒸発散,灌漑用揚水による影響が現われているためと思われる.渇水期の湧出量には,河川水位の感潮型変化が鮮明に現われた.豊水期には,湧出量が台風型降雨のため実質的に増加する.湧出量の月別最高hmax., 最低hmin. の年平均湧出量Q〓からの差,すなわち,月偏差をそれぞれΔQh, ΔQlとすれば,月変幅量ΔQは,|ΔQh+ΔQl|となる. ΔQは, 6・9・10の多雨月に大きく, 1月~4月の少雨月に小さいのは,地下水の涵養量との関係によるものと思われる.また, A泉, B泉の湧出量の経時変化は,離岸距離に比例して減少する.