抄録
日本の工業の地域構造-工業の地域的配置と地域相互間の経済的結合関係-を理解する上で,一つの視点として指定工業統計の工業分類(日本標準産業分類のうち)の分類番号に着目した.いまその一つの例として分類番号3桁のメリヤス工業を取り上げてみると,4桁の丸編,経編,横編,くつ下(アメリカでは生地,外衣,肌着,くつ下などに分類される)から構成されており,それらの地域的配置は構造的および立地論的基盤の上に展開されている.さらにそれらをメリヤス工業の近代化とそれに伴う地域構造の変化という動的な視点でとらえ,日本(近畿圏)とアメリカの場合について比較してみると,地域構造の面でアメリカの先進性が認められ,わが国メリヤスエ業の将来の生産・流通構造のあり方および地域構造の姿が示唆される.