抄録
伊豆下田多々戸海岸で, 6m以浅の海底の砂れんを観察し,同時に波・潮位・底質を観測して,砂れん形成の水理条件を考察した.
もっとも沖には,波の峯の方向に平行な尾根が並走する「平行型砂れん」,この岸側には,波の峯に斜行する2方向の尾根をもつ「斜行型砂れん」,さらに岸寄りには,半月形の凹地が並ぶ「半月型砂れん」がみられた.各型の砂れんの形成域は波高増大又は潮位低下に際し沖へ,逆の場合岸方へ移動したが,その配列の順序は常に一定であった.
「平行型」の形成域での波は正弦波的な波形を有し,波による海底面での流れは沖・岸向きにほぼ等強度の振動流れで,最大速度Umは24cm/sec前後以下,Manoharの無次元関数ψ1'は7.1±1.0以下であった.「半月型」の形成域では,Um>54cm/sec前後,ψ1'>14±4,表面波形は弧立波的で,海底面での流れは岸向きに強い振動流れであり,これが非対称形の凹地の形成に関連していると考える.「斜行型」は前2者の漸移的な水理条件下で形成されるものであろう.