抄録
育成林の地域的拡大を地域単位の集計量としてではなく,その広がり方を中心に把握する.そのために,かつて焼畑耕作が広く行なわれ,その後,急速に育成林化がすすんだ四国西南部山村における二つの部落の各々のテリトリーを対象地域とした.分析については育成林化の時期についての頻度分布をもとにして得られたいくつかの時期について,育成林の広がり方の観察を行ない,そのシミュレーションをモンテカルロ法によって行なった.今回は集落および既存の造林地からの距離の成分を中心にシミュレーションを行なった.その結果,部落の経済的基盤の差によって,そのあらわれ方に相違がみられるが,第一義的には距離の成分の有効性が認められた.また,このシミュレーションを通して,距離の成分以外に,特定所有者による所有地の分布がこれに作用する成分として浮かび上がった.