抄録
筆者は前に1960年ごろまでにおける日本の気温上昇について報告したが,本稿ではその後1970年までの結果について調べたところ,冬の気温は1960年代に入って初めて下降に転じたことが明らかとなった一方,夏の気温は既に1940年代から下降期に入り,且つ低下の傾向も冬に比べて顕著であることがわかった.ここではまず初めに基本的の問題としてこの研究に用いた方法についての吟味や検討を行ない,次いで観測資料の均質性に触れ,とくに都市気候の影響について調べた結果,一定規模以上の大都市や観測点の移転による変化の大きい地点は除外することにしたが,その基準や限度を明らかにした.これらの考慮の下に最近における気温変動の傾向を示数によってあらわし,その強弱の分布を求め,動的考察を行なったものである.したがうて全篇は方法や資料についての検討,低温化傾向の確認とその強度の分布,およびこれに対する原因的考察の3部分から構成される.