地理学評論
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中京地区における内陸工業団地の配置
宮川 泰夫
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1973 年 46 巻 7 号 p. 452-472

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抄録

中京地区における48の内陸工業団地を対象に,その配置を造成主体の行動規準や造成の場所および基盤との関連において解明し,さらに工業の団地への吸着要因と団地配置が工業配置に与えた影響を論及することを本稿の主眼とする.工業団地の客観的分布形態は,およそ主体的な配置行動によってもたらされるものであるが,その行動自体わが国では工業を営む私企業が醸成する「場」の制約を免がれることはできない.とくに工業立地が盛んな愛知県では,「場」がその配置を強く規制している.これに対して,「所」の設定が団地配置を制約した例は,岐阜県(開発地域)・東三河(工業整備特別地域)・三重県(市町村域)といった中京地区の縁辺部において認められる.こうして造成された団地への工業の吸着は,たんに安い地価ど軽い公害負担によってもたらされているにすぎない.そしてその工業配置に与える影響は,局所的な工業化と集積・分散の促進にとどまり,全般的にはそれほど大きなものとはいえないであろう.

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