抄録
日本におけるスキー場の立地条件をみると,自然条件・交通条件などのほかに,集落の産業構造・土地所有形態・投下資本の性格などの複雑な条件の上に成立していることが明らかである.そして,スキー場の地理学的研究を進めるためには,自然条件や開発過程にとどまらず,スキー場の立地する集落についての研究が必要になってくる.
本稿では,スキー場が立地している集落についての実証的研究の一例として,長野県野沢温泉村をとりあげ,研究を進めた・スキー場の開発過程,立地条件,スキー場の発展と地域社会,集落の機能変化,宿泊施設・労働力などの面から検討を加えた.その結果,スキー場開発の初期における集落内の有力指導者層の存在および共有林野の存在が,スキー場の立地・開発そして拡大に有力な要因となった.また,冬季における観光産業の発展は,集落の機能を著しく変化せしめたことが明らかとなった.