地理学評論
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消費者買物行動からみたシティー・レベル商圏の内部構造
日買物財の買物行動とその商圏
高阪 宏行
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1976 年 49 巻 9 号 p. 595-615

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抄録

静岡県清水市において,シティー・レベル商圏の内部構造を日買物財の買物行動を通じて分析した.その結果・日買物財商店群の存立条件,1次商圏の空間的特徴,1次商圏の充足性からみた2次商圏の内部構造が明らかになった.また,日買物財の買物行動の公準として,ある財を購入する場合,“その財を供給する最も近い商店群を選択する”という距離変数のみを考慮した買物行動の公準と,“最も近い商店群とそれより機能的に階層の高い商店群とを選択する”という距離と機能の2変数を考慮した買物行動の公準とが認めら塾た.距離変数のみを考慮した買物行動の公準は,地元商店群の商業機能の立地状況がよいほど,また,地元商店群より階層の高い商店群から遠く離れている場合ほど,消費者に選好されやすく,逆に,地元商店群の機能の立地状況が悪く,より高次の商店群の近くに位置しているほど,消費者は距離と機能の2変数を考慮した買物行動の公準をとる傾向が認められた.日買物財の買物行動によって形成されるシティー.レベル商圏の内部構造は,この2種類の買物行動の公準がおりなす構造なのである.

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