地理学評論
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千葉県市川市における市街地化と農地転用
原田 敏治
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1976 年 49 巻 9 号 p. 616-631

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抄録

1960年代以降の都市近郊農村では,高度経済 成長のもとで市街地の急速な拡大がみられた.地価・労賃の高騰など営農条件の悪化する中で,農家は生計の安定を求めてさまざまな対応を示した.
調査地域市川市では,梨を主作物とする専業農家の一部で通勤耕作による規模拡大が行なわれてはいるが,大多数の農家は次第に賃労働・貸家経営・各種の自営業による農外収入への依存度を強めている.その過程で小面積の農地転用が累積するとともに,耕作の粗放化ないし放棄が拡大し,いわゆるスプロール現象を発生させるに至っている.
市街化の初期に所有地を売りつくした土地所有規模の零細な農家においては,農外賃労働が主たる対応形態になるが,市街化がある程度進行した後に対応する比較的土地所有規模の大きい農家ではその形態は多様である.

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