地理学評論
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只見川上流域の雪崩地形
下川 和夫
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1980 年 53 巻 3 号 p. 171-188

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抄録
只見川上流域に分布するアバランシュ・シュートの形態を記載し,その分布を規定する諸要因を考察した.アバランシュ・シュートは全層雪崩の面的な侵食作用によって形成され,浅いU字型の横断面形と,直線ないし僅かに凹型の縦断面形を呈する.調査地域におけるその規模は,横幅10~80m,走路長150~700m,比高100~500mの範囲内である.傾斜は35~50°であり,雪崩の発生しうる傾斜より傾斜の範囲が狭い.雪崩の発生要因をふまえて考察したアバランシュ・シュートの分布を規定する要因は,一面においては地質,他方では斜面傾斜である.つまり,新第三系や流紋岩地域で分布密度が高く,古生界や花闘岩地域で低い.一方,傾斜35°以上の斜面の分布頻度との対応関係が顕著である.しかし,アバランシュ・シュートの分布と積雪深,斜面長,斜面の標高などの雪崩の発生要因との相関はみられない.その方位分布についてみると,雪庇や吹き溜りが形成される冬の季節風の風下側で,やや発現頻度が高い.
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