地理学評論 Ser. A
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東北地方の山地河川における礫径変化に基づいた流路の区分
島津 弘
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1990 年 63 巻 8 号 p. 487-507

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抄録

東北地方の白神,朝日,北上の3つの山地内に流域をもつ20の河川を対象とし,山地河川における礫径特性値の分布を明らかにするとともに,その下流方向への変化を用いて河川流路の区分を行なった.さらに,各々の区間ごとに礫径特性値の変化を規定する要因について,河川の運搬力と支流からの礫の供給という観点から考察した.結果は以下のようになった.河川上・中流部に位置するセグメントIでは,支流からの土石流により礫が供給されるため平均粒径は下流方向には減少しない.セグメントII, IIIでは,下流方向へ平均粒径が減少するが,セグメントIIでは,支流からの土石流による礫の供給の影響を受け,変動係数が増大する。これに対して,セグメントIIIでは,ふるい分けが進行することにより変動係数は減少する.下流部に位置するセグメントIVでは,礫の供給の影響やふるい分けの効果が小さく,礫径はほとんど変化しない.流路途中に位置するセグメントVでは,局所的に支流から礫が供給されるために平均粒径が下流方向へ増大する.

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