地理学評論 Ser. A
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富士山西斜面における樹木限界の群落構造とその動態
岡 秀一
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1992 年 65 巻 8 号 p. 587-602

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抄録

富士山は山頂高度が高く,カラマツがハイマツ状の生育形を呈しながら2,900mの高さにまで達している.本研究では富士山で森林植生が最も高くまで発達している西斜面に注目し,樹高,直径,樹齢などで表現される生長量や年輪幅の時系列などから樹木限界の群落構造やその動態を把握し,それらと気候環境とのかかわり合いについて検討を行なった.その結果,樹木限界を構成する主要樹種であるカラマツは約110年前に海抜2,900mの高さに達していたこと,その上昇はむしろ低温期に顕著であった可能性のあることなどが推定された.

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