地理学評論 Ser. A
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65 巻, 8 号
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  • 岡 秀一
    1992 年 65 巻 8 号 p. 587-602
    発行日: 1992/08/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    富士山は山頂高度が高く,カラマツがハイマツ状の生育形を呈しながら2,900mの高さにまで達している.本研究では富士山で森林植生が最も高くまで発達している西斜面に注目し,樹高,直径,樹齢などで表現される生長量や年輪幅の時系列などから樹木限界の群落構造やその動態を把握し,それらと気候環境とのかかわり合いについて検討を行なった.その結果,樹木限界を構成する主要樹種であるカラマツは約110年前に海抜2,900mの高さに達していたこと,その上昇はむしろ低温期に顕著であった可能性のあることなどが推定された.
  • 坂本 英夫
    1992 年 65 巻 8 号 p. 603-618
    発行日: 1992/08/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    多品目野菜産地である塩尻市洗馬地区では,レタスやキャベツなどは2ha以上の専業農家が生産し,パセリ・小ピーマン・チンゲンサイなどの小物野菜は婦人や高齢者が生産する.後者については,1962年,地区の元町集落で主婦達が「元町営農グループ」を結成し,パセリの栽培を始めたのがきっかけである.このグループは,農協による熱心な指導によって,近所で仲良しの主婦達が発起人・推進役となり,夫や姑など家族の協力も得て成功した.定年退職後の男子は年金収入もあり,営農に積極的でない者もいる!家計支出のかさむ40歳代の主婦層は農業に積極的となるが,近年は農外就業も増えている.しかし,近年,連作障害により,パセリの品質が低下している.土地の適度な利用は産地の寿命を延ばすが,規模の零細性が壁となっている.産地の維持のためには,農家の生産意欲の持続と相互の過度な競争心の抑制とのバランスが求められる.
  • 束村 康文
    1992 年 65 巻 8 号 p. 619-634
    発行日: 1992/08/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    天気分布型の半旬別出現率に基づいて自然季節区分を行なった.その結果,1年を大きく5つの季節に分け,さらに各季節を細分した.それは,冬季(初冬期,真冬期,晩冬期に細分),春季(春の湿潤期と梅雨の走り期の存在のみ指摘),梅雨季,夏季(盛夏期,夏の湿潤期),秋季(秋雨期,秋晴れ期,晩秋期)である.19世紀前半(1811~1840年)は最近30年間,(1960~1989年)に比べて,冬季,梅雨季,夏季は短く,春季,秋季が長かった.19世紀前半の季節の進行は,春季の開始は最近30年間と変わらないが,梅雨季の開始は遅れていた.“盛夏期”の開始と終了には変化はみられず,秋季の開始は早くなっていたが,“初冬期”の開始は再び遅れて,“真冬期”の開始と終了には変化はみられず,“晩冬期”の終了は変わらなかった.また“秋雨期”と“秋晴れ期”の境が明瞭でなかった.
  • 岩間 英夫
    1992 年 65 巻 8 号 p. 635-652
    発行日: 1992/08/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,宇部鉱工業地域を対象に,「本社の性格」(主力事業所が企業の本社)における内部構造の解明,これと日立の比較から,鉱工業地域社会の内部構造とその発達過程,および鉱工業地域社会形成の内的要因を究明した.
    鉱工業地域社会は,地場的産業から大企業に成長するのに伴って,諸発達段階を経る.
    鉱工業地域社会の内部構造は,基本的に,企業地域社会と関連地域社会から構成される.まず企業地域社会は,企業の資本主義的生産形態が確立するにつれて,中枢管理機能を有する主力事業所(本社)の事務所を中心に,生産機能地域,商業・サービス機能地域,居住機能地域の3つからなる一極型の圏構造を形づくる.次に企業地域社会の周辺に,商店街,公共施設,関連・下請工場,住宅地などからなる関連地域社会が形成される.
    鉱工業地域社会の内部構造は,一極型圏構造から,多極型圏構造,一核心型圏構造への発達過程を歩む.強い自己完結性の性質をもつ鉱業においては,企業地域社会と関連地域社会は隣接して展開する.しかし,この既存鉱業地域社会が工業地域社会に変質(再生)する場合,通勤時間などにおいて制約が小さい工業にあっては,職住が分離し,居住と関連する機能も移動する.つまり,生産機能を残して,商業・サービス機能居住機能が関連地域社会に移り市域を拡大させる.その結果,工業地域社会においては,主力事業所の事務所を中心に生産地域商店街,住宅地域からなる一核心型圏構造を形成する.
    事業所が「本社の性格」をもつ場合,鉱工業地域社会形成の内的要因は経営者と管理・技術集団である.彼らは圏構造の中央に位置する主力事業所の事務所で,生産のみならず企業地域社会,関連地域社会の全般にわたる諸業務を直接・間接に経営・運営している.本社が中央に移って「準本社の性格」に変化した場合は,そこから経営者が抜け,管理・技術集団中心の運営となる.
  • 1992 年 65 巻 8 号 p. 653-656,661
    発行日: 1992/08/01
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 65 巻 8 号 p. 660
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/12/25
    ジャーナル フリー
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