地理学評論 Ser. A
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神奈川県における都市用水事業・下水道事業の広域化と流域変更
原 美登里
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1997 年 70 巻 8 号 p. 475-490

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抄録

都市用水供給のために,大規模な流域変更が大都市周辺の河川で行われている.神奈川県の河川は,横浜市・川崎市・横須賀市などの都市に水を輸送するための導水路によって結ばれ,相模川・酒匂川の水のかなりの部分が,本来排出されるべき相模湾ではなく東京湾へと排出されている.本研究では,都市用水事業と下水道事業により引き起こされた流域変更について考察するために,都市用水事業と下水道事業の展開と,都市用水として流域変更された水量を明らかにすることを目的とする.
都市用水の供給のために相模川水系と酒匂川水系から流域変更された水量を, 1960年度から1990年度までの期間についてまとめ,その結果を地図化した.
相模川流:域から東京湾側へと流域変更された水量は,近年増加し続けている.その水量は1960年度では2億m3, 1990年度では5億6800万m3となっている.また,下水道普及率や有収率の向上に伴い,下水処理されて東京湾へと排出される水量も増加している.その水量は1960年度では6800万m3, 1990年度では4億9600万m3となっている.
流域変更が地域の水環境に与える影響としては,都市域では水収支の変化と汚濁負荷量の増大があげられ,水源流域においては流量の減少などが指摘できる.

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