抄録
GISなどの地理情報技術を用い,丹沢山塊の桧洞丸山頂付近におけるブナ林の衰退を空間的に把握し,その地形条件について検討した.まず,地形の凹凸による空中写真の歪みを細密DEMを用いて補正した.次に,空中写真の判読によりブナ林衰退の状況を把握し,GPSを用いた現地調査により,判読精度の検証と枯死木の樹種の確認を行った.さらにGISを用いた定量的評価と視覚的表現により,ブナ林衰退の状況と地形条件との関係を明確にした.ブナ林衰退は,山頂付近を中心として尾根沿いに分布し,標高の高い場所のみで生じており,緩傾斜地に比較的多く,南斜面に集中している.こうした地理情報技術の活用は非常に有効である.