福島県あぶくま洞内の小気候調査から,入洞者の影響により生じるCO
2濃度の変化について考察した.観測は1995年夏季と秋季の2回実施し,気温・CO
2濃度・風速の測定を移動観測と定点観測によって行った.その結果,閉鎖的な上部洞を中心に高温域とCO
2濃度の高濃度域が形成されており,その持続時間は長かった.一方,下部洞では,夏季に洞窟内大気の流出,秋季に外気の流入が生じている.それは,洞窟内外の気温差が季節や日変化によって生じるためである.また,上部洞の三山の樹林では,夏季・秋季とも累積入洞者数とCO
2濃度との関係に高い相関があり,得られた関係式から,約1500人で鍾流乳石の再溶食が生じるとされる2400ppmに達し,約4800人で人体に有害とされる5000ppmに達することが分かった.
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