抄録
戦後の東京およびその周辺地域における大気環境の著しい変化を,大気汚染と都市化に伴う都市気候の面から展望した。大気汚染とその直接の影響が反映する視程の推移を見ると,(1)1949年以前,(2)1950-1963年,(3)1964-1970年,(4)1971年以降の4期に分けられ,経済活動や使用燃料の変遷や大気汚染対策などの要因との対応が明らかである。都市域の拡大や都市活動の変遷に対応して,ヒートアイランドが拡大しその強度が強くなったばかりでなく,大気汚染との相互作用が,1960年代の汚染最盛期のクールアイランドの形成やSO2濃度の日変化型の推移に見られる.また都市内外のクーリングディグリーデーや体感気候の差にも言及した.