地理学評論
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岐阜県高富低地における後期更新世以降の堆積環境の変遷
森山 昭雄鈴木 毅彦加古 久訓中村 俊夫
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2004 年 77 巻 13 号 p. 924-939

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抄録

岐阜県高富低地において,ボーリング資料を用いて推定した地下構造と,1本のオールコア・ボーリング中の広域テフラおよび化石ケイソウ群集の分析から,堆積環境の変遷にっいて考察した.高富低地を構成する高富層(新称)は,下位から高富基底礫層,高富下部泥層,高富軽石質砂層および高富上部泥層に分けられる.上部泥層および下部泥層は湖成堆積物であり,上部泥層からはK-Ah,AT,Aso-4の広域テフラが検出された.高富軽石質砂層からは御岳火山起源の御岳第一浮石層(On-Pm1)および御岳藪原テフラ(On-Yb)などが検出され,高富軽石質砂層は木曽川流域に広く分布する木曽谷層に対比される.テフラの年代から古木曽川は,約100ka頃に美濃加茂付近より関市をまわる流路を通り,当時湖の環境であった本地域に高富軽石質砂層を一時的に流入させたと考えられる.オールコア・ボーリング資料が得られた西深瀬では,約31kaから現在まで泥炭湿地の環境が続いた.また,梅原断層以南の鳥羽川低地には,長良川が最近まで流下していた可能性が高い.

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