地理学評論
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インドにおける日系自動車企業の立地と生産システムの構築
トヨタ・キルロスカ・モーター社を事例として
友澤 和夫
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2004 年 77 巻 9 号 p. 628-646

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抄録

本稿では,インドのバンガロールに進出したトヨタ社の現地法人トヨタ・キルロスカ・モーター (TKM) 社を事例として,生産の小規模性に対応して構築された生産システムの特徴を明らかにした.TKM社では,当面の生産規模拡大の不透明さを前提に設備投資が抑えられ,廉価で調達できる労働力を活用した生産ラインが築かれた.部品は,同国の主要な自動車産業集積地に所在する日系企業,外資系企業,ローカル企業から調達しているが,金額的にはバンガロールに進出したグループ企業によって大部分が占められた.サプライヤーからの部品搬入には,ミルクラン方式が全面的に採用され,JITを実現しながら物流コストを削減する仕組みがっくられた.TKM社とローカル・サプライヤーとの取引金額は概して小さく,それらの取引の基本構造である範囲の経済性の追求を変えるには至っていない.日系サプライヤーの中にも,同社以外のメーカーとの取引を始めているものもみられ,インドでは取引先の多様化が競争優位を獲得する一つの方法であることが示された.

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