本稿では,東北日本内陸盆地の一つである新庄盆地内の地形成因を明らかにするために,丘陵背面構成層・盆地埋積層の編年,および断層運動の解析に基づいて,地形の分化作用,盆地内隆起に関する考察を行った.その結果,盆地東部,新庄東山断層下盤側に形成されている泉田低地(沖積層堆積域)は,断層角盆地であること,盆地内に広く分布する丘陵背面(約300ka)は,断層運動による局地的な変位とは異なる地域的隆起によって形成されたこと,が推定される.第四紀後期において新庄盆地は逆断層運動によって山地から分化しながら,同時に盆地全体が隆起し開析を受けてきたことにより盆地内に丘陵が発達したものと考えられる.