地理学評論
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ドイツ新連邦州メクレンブルク・フォアポメルン州における行政改革計画とその進行
森川 洋
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2007 年 80 巻 9 号 p. 503-524

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抄録

メクレンブルク・フォアポメルン州では職員過剰の現状と将来の人口減少予測や東ドイツ支援資金の廃止予定により, 郡の機能改革だけでなく地域改革をも含めた「行政近代化計画」が進行している. 州は職員支出を抑えるために多くの州職員を郡に移管するので, その受入れのためには, 郡の合併と特別市の郡復帰によって, 面積3,200~7,000km2からなる広域郡を形成する予定である. それは自治体自治の強化を無視し, 規模の経済による行政の合理化だけを意図した改革であり, 基本法や制度法に抵触するといわれ, 郡も特別市も市町村やアムトもこの改革に反対している. この「行政近代化計画」においては, 改革費用の問題をはじめ, 公聴会の開催や現行制度に対する「欠陥分析」, 改革頻度などの問題が取り上げられた. 政治的決着による五つの広域郡についても, 役場の距離や郡域の均等発展のほか, 特別市の郡復帰に伴う問題点, さらには空間整備計画との関係などが論議された. 将来この改革が法的に承認されたとしても, 新連邦州のすべてが本州と同じ道を歩むとはいえないであろう. 本稿の目的は, この「行政近代化計画」を通してドイツにおける行政システムの問題点を検討することにある.

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