地理学評論
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戦前期に開発された郊外住宅地の景観の類型化
新宿区中井地区を事例として
山口 太郎
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2007 年 80 巻 9 号 p. 525-540

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抄録

本研究では, 敷地の広さや緑の豊かさから環境の良い住宅地として評価されている戦前期に開発された郊外住宅地に対して, 時代を経たことによるさまざまな変容の結果としての現況を, 景観観察から分析した. 新宿区中井地区を事例に, 可視的な景観構成要素に対し, 景観観察に基づくデータ化と, それらのデータを使用して計量分析手法による景観の類型化を行い, 中井地区の景観の特徴を分析した. その結果,「商・住併用を含む低・中層住宅」,「前面に駐車スペース等を持つ住宅」,「敷地規模が大きく植栽の豊富な戸建住宅」,「中・小敷地規模の住宅+諸施設」の4類型が得られた. 景観を重視したまちづくりが注目される今日, 地理学から何ができるかを考えたとき, 景観観察からいくつかの景観類型が得られた本研究を通じて, 可視的な景観構成要素に注目することと, まちづくりに求められている小スケールでの調査の意義を提示できたのではないかと考える.

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