琥珀のFT-IR分析を行う場合、試料を削って粉末にして測定することがある。これは拡散反射法とよばれる測定方法で、琥珀などの有機物の測定方法としては大変すぐれたものであるが、試料を削らなければならないため、非破壊検査をモットーとする宝石の検査には本質的に向いていない。
今回発表する正反射法による測定は、非破壊で測定できるというメリットがある。しかし、拡散反射法に比べると得られるデータが少ないというデメリットがある。
グラフ1はバルチック産の琥珀を正反射で測定したデータである。1145cm-1のところに山があるのが確認できる。グラフ2はドミニカ産のデータである。1226cm-1,1163cm‐1に弱い山があるのが確認できる。グラフ3はミャンマー産のデータである。1120cm-1に山があるのが確認できる。
このように、正反射法では得られるデータは限定的とはいえ、バルチック産等の古い琥珀とドミニカ産等の新しい琥珀の判別は可能であると思われる。