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真珠の養殖過程において、真珠の表面あるいは真珠層内部には真珠層以外の異質層が形成されることがある。これら異質層の中の主たる存在が“稜柱層”と総称されている白色または褐色の不透明な層である。“稜柱層”が存在するとその部分から亀裂が生じる可能性があり、真珠が内包する代表的な欠陥と見られている。
“稜柱層”には様々な形態が存在する。そこで真珠によく見られる形態の“稜柱層”を選出し、光学顕微鏡により真珠表面と断面からそれぞれ観察を行った。また主たる成分である炭酸カルシウムは結晶構造の違いによりアラゴナイトやカルサイトなどいくつかのパターンが存在する。これらについて、ラマン分光を用いて結晶系の違いについても調べたので報告する。