宝石学会(日本)講演会要旨
平成27年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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平成27年度 宝石学会(日本) 講演会 論文要旨
真珠の「テリ」強弱発現メカニズムの考察
*矢崎 純子鈴木 千代子小松 博
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p. 13-

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抄録

真珠のテリの強弱が発現する要因の解明、テリを出す方法の模索は、以前より養殖においての課題である。分泌されるアラゴナイトの結晶は、時期によって結晶面の状態や形に相違があり※1、アコヤ真珠の養殖では、テリの強い真珠を作るため浜揚げは12月~1月に行われている。その他、浜揚げ前に漁場を移動するなどの「化粧まき」と言われる作業や、テリの良いピース貝の育種なども行われている。
テリは表層部の結晶層の積み重なり方が影響することは報告されているが、表面からどれくらいの結晶層の状態がテリに影響するのか、それがどれくらいの養殖期間に当たるのかについては、諸説あり※2、またどのような事項がテリに影響するのかも報告は少ない。したがって真珠のテリを解明するためには、情報を多角的に集め、様々な実験とその検証をする必要がある。
当研究所では2011~14年にわたり浜揚げ直前の薬浴などの実験や分析を行ってきた。今回、これらの実験等を通してのテリの強弱など真珠への影響を分析し、考察したので発表する。なお、テリ測定は輝度と干渉色※3から行った。
※1:和田浩爾「真珠袋のCa代謝機構と真珠の品質形成」国立真珠研究所報告16,1949‐2027,1972
※2:和田浩爾「真珠形成機構の生鉱物学的研究」国立真珠研究所報告8,948‐1059,1962 内田洋一、上田正康「真珠の層状構造とiridescenceに就いて」生理生態1-3,171‐177、1947
※3:「表面に現れる干渉色の色彩分析による新たなテリの強度測定についてのアコヤ真珠での試み」小松 博 2014宝石学会

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