宝石学会(日本)講演会要旨
平成28年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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平成28年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
オレンジの蛍光を示す天然ピンクダイアモンドの特徴
上杉 初*齊藤 宏小滝 達也
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p. 2-

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抄録

1.はじめに
照射、焼鈍し処理によるピンクカラーのダイ アモンドは、紫外線検査においてオレンジの 蛍光を示すことは良く知られている。近年、注目されている処理ピンクカラーのCVD合成ダ イアモンドも同様であることが報告されている。 現在流通している天然カラーのピンクダイアモ ンドの多くはブルーの蛍光を示すため、蛍光 性はピンクカラーの処理の検出に有効な検査 の一つとなっている。
しかし、ごく稀ではあるが、オレンジの蛍光 を示す天然カラーのピンクダイアモンドを検査 する機会がある。そこで、エージーティージェ ムラボラトリー(以下AGT)で、過去10年間に 検査したオレンジの蛍光を示す天然カラーの ピンクダイアモンドの特徴を報告する。
2.一般的検査結果
オレンジの蛍光を示す天然カラーピンクダイア モンド(AGT 2006-2015 蛍光ミディアム以上)
・検査数 :18 石
・Carat : 0.15 - 6.20ct.
・Color : Fait - Fancy [Orangy] Pink
3.分光検査結果
FTIR測定の結果、タイプは全てⅡa であっ た。紫外可視分光検査は、光ファイバーで測 定光を外部試料室へ導入し、液体窒素を使 用して測定できる紫外可視分光光度計 (日 本分光:Ⅴ‐670)を使用した。室温での検査 では、507nm に幅広のバンドが検出され、さら に、いくつかのサンプルでは 575nm にも吸収 が検出されたが、通常天然ピンクカラーのダイ アモンドに認められる 550nm のバンドは検出 されなかった(図1)。冷却温度では、575nm、 637nm NVセンターが認められたが、処理ピ ンクダイアモンドに認められる 595nm のピーク は検出されなかった。

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