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ゴールド系シロチョウ真珠については、蛍光観察、紫外可視反射分光、顕微ラマン分光など測定分析の報告がある※1,2,3。今回、奄美大島、ミャンマー、フィリピン、インドネシアの産地が明確なゴールド系シロチョウ真珠を観察、分析し、その特徴を分類した。また、最近の着色ゴールド系真珠も観察分析を行った。
ゴールド系シロチョウ真珠の分光パターンは、 280nm の吸収および 360~430nm の幅広い吸収が特徴として知られているが、干渉の強い真珠の場合は、明確な特徴が確認できない場合もある。表面を削り、干渉色の影響を排除すると、可視光付近は典型的なパターンに近いことが確認でき、干渉が分光パターンに影響することが推定できた。
今回の試料において産地別にその特徴をみると、分光パターンより算出した色は、ミャンマー産はやや薄く、奄美大島産は緑よりの黄色、インドネシア産は赤よりの黄色という結果であった。また、 LA-ICP-MS による微量元素の統計分析を行った結果、今回の試料において産地別に分類されることが確認できた。
着色ゴールド系シロチョウ真珠は、紫外線照射や分光パターンから判別が可能であったが、最近は分光パターンや蛍光が未処理の真珠と類似するなど、様々な特徴を持った着色真珠が存在している。未処理のゴールド系シロチョウ真珠の特徴を踏まえ、 複数の検査方法で判別することが必要である。