宝石学会(日本)講演会要旨
平成30年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
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平成30年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
サンゴパールとその色の起源
*猿渡 和子
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p. 26

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抄録

サンゴパールは、ピンクサンゴを核にして養殖されたアコヤ真珠で、愛媛県宇和島市の松本真珠で養殖されています。ピンクサンゴ核は、高知県産 Corallium elatius と推測されます(1)。ドリル穴が開いたサンゴパール、 10 試料のドリル穴と表面の観察を行いましたが、色溜まりなどは観察されませんでした。ドリル穴部で、真珠層の厚みを測定したところ、 0.12-0.4 ミリメートルと見積もられました。この結果は、透過 X 線観察により真珠層の厚さ変化と一致しました。当然ながら、真珠層が厚いと真珠全体のピンク色が淡く、真珠層が薄いとピンク色が濃く観察されました。そこで、反射型紫外可視分光光度計を用いて反射率を調べました。その結果、真珠層が薄い試料の反射率はピンクサンゴ核の反射率に近くなり、低めの反射率を示したのに対して、真珠層が厚い試料の反射率はより高くなる傾向を示しました。以上の結果、サンゴパールのピンク色は、ピンクサンゴ核の色を反映している可能性が高いことが示されました。

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