宝石学会(日本)講演会要旨
2026年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
会議情報

2026年度 宝石学会(日本) 一般講演要旨
ザンビア産とされるグリーン・ブルーのベリルの化学的特徴
*桂田 祐介, Aaron C. Palke, 砂押 拓也, 任 杰
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 12

詳細
抄録

2025 年初頭より日本の宝石市場において、ブルーを基調とするベリルの流通が確認されている。これらは、ザンビアのカフブ地域のエメラルド鉱山から産出したとされている。

本研究では、複数の協力者より提供された14 点の試料について、基本的な宝石学検査に加え、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、紫外可視近赤外分光法、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析(LA-ICP-MS)を用いて化学的特徴を評価した。

すべての試料の比重は約 2.76、屈折率は1.58〜1.59 の範囲を示し、鉱物としてはベリルであることが確認された。紫外可視近赤外吸収スペクトルでは、鉄に起因する強い吸収が認められ、鉄が主要な発色要因であることが示された。これはアクアマリンに典型的な鉄起因の発色と整合的だが、クロムによる吸収も確認されているところがアクアマリンとは異なる。グリーンの強い試料では、比較的クロムの含有量および吸収が高く、エメラルドの特徴に近い。また、ブルーとグリーンのゾーニングを示す試料では、クロム濃度とグリーンの強度との間に相関関係が確認された。化学分析の結果、クロムの含有量が低い一方、その他の主要微量元素組成は GIA の産地データベースに含まれるカフブ産エメラルドと概ね一致していた。内部の特徴および水分子タイプ(Zheng et al., 2024)も、ザンビアのカフブ産エメラルドに見られるものと一致しており、共通の起源を示唆している。

カフブ地域のエメラルド鉱山を代表するカジェム鉱山の報告書(2015)によれば、結晶片岩を主体とする鉱区内にペグマタイトおよび石英脈が分布している。

本研究は、ペグマタイトおよび周囲の結晶片岩との反応帯において、ベリルが形成される際のクロムの挙動について新たな疑問を提起するものである。さらに、宝石名の分類や処理に関する宝石学的議論の可能性も示唆している。

著者関連情報
© 2026 宝石学会(日本)
前の記事 次の記事
feedback
Top