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デマントイドガーネットは、アンドラダイト (Andradite、 Ca3Fe3+2(SiO4)3)に属する緑色の宝石変種であり、高い屈折率と分散度の高さを特徴としている。通称ホーステールと呼ばれる包有物は視覚的にも美しく、それらが観察されるロシア産のデマントイドガーネットは特に人気がある。しかし、ホーステールはロシア産だけでなく、イラン、イタリア、カナダ、パキスタン産にも観察されるため、原産地鑑別の潜在的な要望は高い。
デマントイドガーネットの産状は蛇紋岩ホスト型とスカルンホスト型の 2 つのグループに大別することができる。蛇紋岩ホスト型としては、ロシア、イラン、イタリア、カナダ、パキスタンが知られており、スカルンホスト型としてはマダガスカル、ナミビアが知られている。
デマントイドガーネットの原産地鑑別の先行研究は数多くあり、特に微量元素濃度を比較した研究分野で成果が挙げられている。
本研究では、微量元素濃度の比較と標準的な宝石鑑別の手法も含めた総合的なデマントイドガーネットの原産地鑑別のプロトコルの作成を目指した。
蛇紋岩ホスト型のデマントイドガーネットとして、ロシア(ウラル)産 11 点、イラン産 10点、イタリア産 4 点、カナダ産 5 点、パキスタン(コヒスタン)産 5 点を、スカルンホスト型としてマダガスカル 5 点、ナミビア 10 点をサンプルとして用いた。これらに対し、顕微鏡観察、UV-Vis スペクトル・赤外スペクトル・ラマンスペクトルの測定と EDXRF および LA-ICP-MS による元素分析を行った。
顕微鏡下では、蛇紋岩ホスト型のサンプルからはホーステールが観察されたが、原産地によりその形状が若干異なっており、カナダ産のホーステールは少し縮れた印象を受けた。また、パキスタン産のサンプルからは針状のダイオプサイドが確認された。交差偏光下では、カナダ産は他の産地と比較すると二次干渉を伴う大きな歪を有していた。
赤外スペクトルでは、スカルンホスト型は3562、 3581、 3610, 3631cm-1 の吸収が観察されるが、蛇紋岩ホスト型は 3604cm-1 と強く飽和した 3560cm-1 が観察された。また、蛇紋岩ホスト型には 3690 cm-1 に吸収を示すものがあったが、スカルンホスト型には見られなかった。
LA-ICP-MS 分析では、 Ga の含有量が 1ppmより少ないものは蛇紋岩ホスト型、多いものはスカルンホスト型に大別できた。蛇紋岩ホスト型は Ga-Mn、 Ga-Sc のプロットで各産地が分別でき、スカルンホスト型は Mg、 Mn の含有量などで分別が可能であった。
今後、さらなるデータベースの充実と検証が必要であるが、標準的な宝石鑑別の手法と微量元素濃度を比較することで、デマントイドガーネットの原産地鑑別は充分に可能と思われる。