肺癌
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第20回肺癌集検セミナー
検診とゲノム診断
光冨 徹哉
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ジャーナル オープンアクセス

2005 年 45 巻 2 号 p. 157-165

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抄録

目的. 分子生物学を肺癌検診に応用していく試みを整理し問題点を明らかにする. 方法. 肺癌感受性診断, 微量肺癌細胞の検出による早期診断などに関する文献を検索した. 結果. 肺癌の感受性診断 : 疫学的に示される肺癌の弱い遺伝性の実体として, 発癌物質代謝酵素, 遺伝子修復関連や癌関連遺伝子などの多型などがあり, 数倍の肺癌リスク上昇が示されている. このような単塩基多型 (single nucleotide polymorphism: SNPs) を網羅的に同定しその意義を検証する研究が現在進められており, 今後の発展が期待される. 微量肺癌細胞の検出 : 喀痰, 血清などの癌関連遺伝子の突然変異, メチル化, 上皮マーカーの発現などをPCR法によって増幅し高感度に検出して早期発見に役立てようとする試みである. これにより高感度に癌を発見できると報告されているが, 感度と特異度は両立し難く, また再現性にも問題があることが多い. 最近ではマススペクトロメトリーによる血漿蛋白の解析によって癌の早期診断を行う試みがあり検診への応用が期待されている. 結論. 肺癌の集検にこのような方法をすぐ応用していくことは未だ困難である. 発展のためには集検時に良質な検体を蓄積していくことが重要であろう.

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© 2005 日本肺癌学会
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