目的. 肺癌検診を中心としたCTから肺気腫の発症頻度を検討した.
対象と方法. 対象は2731例で, 男性1890例, 女性841例の21~91歳である. 肺気腫はCT上の低吸収域で診断し, 呼吸機能検査は参考にしていない. 男性では喫煙者が過去喫煙者を含めて1592例, 非喫煙者が298例であり, 一方女性では喫煙者が過去喫煙者を含めて114例, 非喫煙者が727例であった. CT所見は正常と, 肺気腫を軽度のgrade1から重症のgrade4にまで分類した. CTは1 cm厚の連続画像で, 高分解能CTは使用していない.
結果. 男性において肺気腫は喫煙者1592例中827例 (51.9%), 非喫煙者298例中6例に認められた. 女性では喫煙者114例中27例 (23.7%), 非喫煙者727例中10例 (1.4%) に認められた. 男性喫煙者での肺気腫の重症度別では, grade1が383例, grade2が206例, grade3が154例, grade4が84例であった. 一方女性喫煙者での重症度別ではgrade1が17例, grade2が6例, grade3が4例でありgrade4はなかった. また男性喫煙者の年齢別の肺気腫の発症頻度は30歳未満で27例中8例 (29.6%), 30歳代90例中33例 (36.7%), 40歳代294例中138例 (46.9%), 50歳代507例中241例 (47.5%), 60歳代406例中231例 (56.9%), 70歳代以上268例中176例 (65.7%) であった.
考察. 肺気腫は30歳以下の若年者から認められる. 肺気腫は非喫煙者でも発症するが, 喫煙と密接に関連し年余にわたる喫煙の積み重ねで進行する. 肺気腫は平均では男性喫煙者の半数以上に認められる.
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