2006 年 46 巻 6 号 p. 759-764
背景.肺癌の胃転移を生前早期に診断することは稀である.症例.71歳,男性.右肺下葉原発の小細胞癌の病期診断目的でFDG-PETを施行し,原発巣と縦隔リンパ節の集積以外に上腹部正中位に異常集積を認めた.胃内視鏡検査で胃体部に中心陥凹を伴う孤立性の隆起性病変を認め,生検により肺小細胞癌の胃転移と診断した.その他の部位には遠隔転移を認めず,進展型小細胞癌(cT3N2M1)と診断し,CBDCA/CPT-11による化学療法を4コース行いCRを得た.結論.近年普及したFDG-PET検査は従来の病期診断法では診断困難であった消化管転移の発見にも有用であり,正確な病期診断と適切な治療が可能であった.