肺癌
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第21回肺癌集検セミナー
肺癌集団検診―喀痰細胞診をめぐって―
佐藤 雅美斎藤 泰紀高橋 里美西野 善一
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 46 巻 7 号 p. 863-870

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抄録

喀痰細胞診は,肺門部早期肺癌の発見と大人数を対象としたスクリーニング法として,他の方法では代用できない重要な役割を有している.喀痰細胞診の成績についてかつて大規模なRCTが行われた1970年代および80年代の成績と1990年代の宮城県の成績とを比較すると,時代を追うにつれて,発見成績,治療成績が向上していることが明らかとなった.一方,宮城県のがん登録の成績からは,1990年代の男性喫煙者における扁平上皮癌の罹患は腺癌の罹患を凌駕していた.男性全体では,扁平上皮癌と腺癌の罹患はほぼ同数であった.日本における喫煙率は,アメリカの約2倍であり,今後も長期にわたって喫煙の影響が存続することとを合わせて考えると,喀痰細胞診の役割は今後も重要であると考えられた.その一方で,都道府県によって,喀痰細胞診による肺癌発見率に著しい差異がみられ,検診の効果を十分に発揮するには,精度管理の重要性が改めて痛感される現状にあることも明らかであった.

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© 2006 日本肺癌学会
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