目的.現行肺癌病期分類ではIB期とIIA期の予後が分離せず,かつIIA期の症例数が少ない.腫瘍径と胸膜浸潤からT因子を再評価し新病期分類を考案する.方法.非小細胞肺癌切除1245例を対象とした.病理病期T2を腫瘍径と胸膜浸潤(P因子)で規定し予後別に分け,IB期のうち予後の悪いT2群をIIA期に組み入れた.結果.現行病理病期別5年生存率と症例数はIA 82.2%(n=354),IB 64.6%(n=311),IIA 69.2%(n=39),IIB 45.5%(n=145)であった.T2を腫瘍径で3群(≦3 cm,>3~≦5,>5),胸膜浸潤で2群(P0-1,P2)に分けると,5年生存率は>3~≦5 cmかつP0-1群で59.5%,>5 cmまたはP2群で37.5~47.3%であり,前者をT2a,後者をT2bとした.T2aN0M0を新IB,T2bN0M0をT1N1M0とともに新IIAに分類すると,生存率と症例数はIB 70.6%(n=163),IIA 60.4%(n=187)となった.結論.IB期のうち>5 cmまたはP2群は予後が悪く,IIA期に組み入れると病期別に予後が分離し症例数が分散する.