肺癌
Online ISSN : 1348-9992
Print ISSN : 0386-9628
ISSN-L : 0386-9628
総説
肺癌の診断・治療における細胞診の有用性
宝来 威
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2008 年 48 巻 1 号 p. 5-10

詳細
抄録
肺は組織診が困難な臓器で,細胞診が最終診断となる場合が多い.細胞診では治療方針を決定するための組織型の推定も可能である.呼吸器細胞診には喀痰細胞診と,気管支鏡下やX線透視下での病巣の擦過法あるいは穿刺法があり,これらの細胞採取手技を病巣の局在にあわせて適切に選択する.細胞診の診断成績は,検体採取法,組織型,病巣の局在や進行度により異なるが,陽性率は約90%で,組織型との一致率も高い.胸部X線写真無所見の中心型早期癌では喀痰細胞診が発見手段である.肺癌細胞の形態と手術予後や抗癌剤の効果との関連も研究され,あるいは分子生物学的検査の材料として細胞診検体の利用も可能であり,細胞診の臨床へのフィードバックも期待される.
著者関連情報
© 2008 日本肺癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top